不動産売却時の税金について

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不動産課税譲渡所得税について

不動産売却時の税金

個人が土地・建物を売却し、利益(譲渡益)が出た時、給与所得などとは別に税金が課税されます。  一方、安くにしか売却出来ず譲渡損が発生した時は、利益が無いことから新たな税金は発生しませんが、 損失になってしまった分を他の所得から引くことは原則出来ないことになっています。  ただし、新たな住宅ローンを活用して住み替え物件を購入したり、売却額ではそれまでの住宅ローンを完済できないなどの 一定要件を満たす場合の居住用資産に関しては、損益通算や繰越控除の特例を適用できることがあります。
これ以外にも3年程度の期限を区切って、政策的要因で様々な特例措置が設けられることがありますので、 今どのような優遇策が講じられているのか都度確認する必要があります。

課税譲渡所得の計算

譲渡所得税計算の元になる金額(課税譲渡所得金額)は、買主から受け取った売買代金そのままの額ではありません。 この不動産を取得したときに 支払った土地・建物の購入代金(建物については現在価格)と購入時の諸経費に加え、今回この不動産を 譲渡する際に支払った譲渡費用と特別控除の適用があれば特別控除額を売却時の売買代金から差し引いた残りの金額です。
つまり、課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 - 取得費 ー 譲渡費用 - 特別控除
まず購入費ですが、当時の土地価格と建物現在価格(居住して使ってきた分が減価された時価額)の他に、 取得時に支払った司法書士費用・媒介報酬・契約書に貼った印紙代・登録免許税・不動産取得税などがあります。  そして譲渡時の費用には、司法書士費用・媒介報酬・契約書に貼った印紙代・残置物撤去費用や解体・測量費用など種々あります。
また、譲渡益に対する税率は、土地建物の譲渡した年の1月1日時点での所有期間の長短 (~5年、5年~、10年~)や所有の目的(居住用なのかそうでないのか)別で異なります。
ただし、売却後3年間はローン控除を利用することができない制約があるので、 売却金で住宅等の購入を予定している方は、どちらを使う方が有利なのか検討する必要があります。

不動産を売却して利益が出たときの税率

    短期譲渡所得(保有期間が譲渡した年の1月1日時点で5年未満の場合)
  • 課税譲渡所得金額 X 39.63%・・・(所得税 30.63 %+住民税 9 %)
    長期譲渡所得(保有期間が譲渡した年の1月1日時点で5年以上の場合)
  • 課税譲渡所得金額 X 20.315%・・・(所得税 15.315 %+住民税 5 %)

所有期間10年超の居住用財産の軽減特例

居住用財産の3000万円特別控除の要件を満たし、加えて所有期間が10年超の場合には、居住用財産の3000万円特別控除で控除しきれなかった 3000万円以上の譲渡益に対して、
① 3000万円以降の6000万円までは14.21%(所得税 10.21%+住民税 4%)
② それ以降の譲渡益には20.315%(所得税15.315%+住民税5%)
が適用できます。

つまり保有期間10年を超える居住用不動産の場合、課税譲渡所得金額が 10,000万円とすると、 まず 3,000万円を控除した残りの 7,000万円(6,000万円+1,000万円)が計算対象となり、
6,000万円 X 14.21/100 + 1,000万円 X  20.315/100 = 1,055.75万円 が支払うべく税額となります。

居住用財産の3000万円特別控除

居住用資産の特別控除とは、それまで所有者が居住していた自宅の売却に対し、所有期間にかかわらず譲渡価格から3,000万円までを差し引ける制度です 適用要件は、
① 現に居住しているか、転居してから3年後の年末までに譲渡するものであること。
② 転居後に家屋を取り壊した場合、取り壊した日から1年以内に土地の売買契約を済ませ、転居後3年後の年末までに譲渡するものであること。 この場合譲渡までの間に 土地を事業の用として使ってはいけません。
③ 配偶者、直径血族や生計を同じくする親族等やそれらの者が主宰する同族会社への譲渡は対象外となります。
④ この特例は3年間に1度だけしか適用できません。

特定の居住用財産の買換え特例

これまで住んでいた資産(住宅やその敷地)を売って新たに居住用の住宅やその敷地を買い換える際に譲渡所得が発生したとしても、 新たに買い換えた不動産を将来売却する時まで待って、その損益を精算する(課税の繰り延べ)制度です。 無税になる訳ではありません。

具体的には
これまでの資産の売却代金 <= 買換資産の購入代金 の場合、その時点では税金が掛かりません。
これまでの資産の売却代金 > 買換資産の購入代金 の場合、その時点では売却代金が上回った分だけに課税されます。

しかしながら買い換えた資産を将来売却する際には、最初の譲渡時に課税されなかった(得したように思えた)金額を持ち戻して加えた総額が ①の場合も②の場合も譲渡益として扱われますので、居住用資産の場合は、売却益が3,000万円控除で収まるようであれば、そちらの制度を利用した方がお得です。

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

個人が旧居宅を令和7年末までに売却して、新たに新居宅を購入した場合に、旧居宅譲渡で損失が生じたときにその譲渡損失をその年の給与所得や 事業所得など他の所得から控除(損益通算)したり、さらに控除しきれなかった損失を譲渡の年の翌年以降3年まで繰り越すことができる制度です。

特例の要件は以下のものであること
① 現に自分が住んでいる旧居宅、または住まなくなってから3年を経過する年の年末までの譲渡であること。  (一定の条件を満たせば、取り壊した後の敷地の譲渡にも使えます。)
② 旧居宅が所有期間5年を超えるものであること。
③ 家屋が災害で滅失した敷地で、所有期間が5年を超える場合は、災害によって住めなくなった日から3年後の年末までに譲渡するものであること。
④ 家屋の床面積が50㎡以上であること。
⑤ 新居宅を取得した年の年末までに居住見込みであること。
⑥ 新居宅を取得した年の年末において、買換の住宅ローンが10年以上の期間あること。
この制度は他の居住用財産の特別控除との併用はできません ただし、住宅借入金等特別控除制度は併用できます。

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例控除の特例

住宅ローンのあるマイホームを令和7年末までに住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、 その譲渡損失をその年の給与所得や 事業所得など他の所得から控除(損益通算)したり、さらに控除しきれなかった損失を譲渡の年の翌年以降3年まで繰り越すことができる制度で、 買換資産(新居宅)が無くても適用することができます。

特例の要件は以下のものであること
① 現に自分が住んでいる居宅、または住まなくなってから3年を経過する年の年末までの譲渡であること。 この譲渡には借地権設定なども含まれます。  (一定の条件を満たせば、取り壊した後の敷地の譲渡にも使えます。)
② 居宅が所有期間5年を超えるものであること。
③ 家屋が災害で滅失した敷地で、所有期間が5年を超える場合は、災害によって住めなくなった日から3年後の年末までに譲渡するものであること。
④ 譲渡した居宅の売買契約日の前日において、その居宅に係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること。
⑤ 住宅の譲渡価格が住宅ローン残高を下回っていること。
なお、契約締結日の前日における譲渡する居宅に係る住宅ローンの合計額から譲渡価格を控除した差額が控除の限度となります。
この制度は他の居住用財産の特別控除との併用はできません ただし、住宅借入金等特別控除制度は併用できます。

被相続人の居住用財産の3000万円特別控除

相続、遺贈によって取得した被相続人の居住用家屋や家屋の敷地等を、 令和9年末迄に譲渡することにより譲渡価格から3,000万円までを差し引ける制度です 適用要件は、
① 建物が昭和56年5月31日以前に建築されたものであること。
② 区分所有登記(連棟建て家屋やマンション)がされていない一つの建物であること。
③ 相続開始直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと。 ただし、介護認定等を受け老人ホーム等に入所していて 空き家であった場合も利用できます。
④ 相続開始や③の場合を含め、被相続人が住まなくなってから事業の用に使用されず、他の者の居住履歴がないこと。
⑤ 建物を取り壊してから更地として譲渡する場合、取り壊しから譲渡までの間に土地を事業の用等に使用していないこと。
⑥ 建物を取り壊さずに譲渡する場合は、現行の耐震基準を満たすよう耐震補強されたものであること。
⑧ 建物を取り壊さずに譲渡するであって、買主が譲渡日の翌年2月15日までに現行の耐震基準を満たすようになった場合。
⑨ 建物を取り壊さずに譲渡するであって、買主が譲渡日の翌年2月15日までに建物全部を取り壊すことになった場合。
⑦ 譲渡価額が合計1億円以下であること。

低未利用土地等を譲渡した場合の100万円特別控除
令和7年末までに、所有期間5年超の低未利用土地(古家がある場合も含む)を譲渡価格合計500万円以下、都市計画区域内にあり、 用途地域が指定されている地域、自治体が所有者不明土地対策計画を作成している自治体内、市区町村長によってその土地が「低未利用土地等であり、 買主に土地利用の意図が確認された場合には800万円以下の場合に、譲渡所得から最大100万円控除されます。

  • イ 個人が譲渡した者であること。
  • ロ 譲渡した年の元旦に所有期間が5年を超えていること。
  • ハ 譲渡価格合計が500万円以下の都市計画区域内にあること。

令和2年7月1日~令和4年の年末まで

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

  • ① 相続や遺贈により土地、建物、株式などの財産を取得した者であること。
  • ② その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  • ③ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限(10ヶ月後)の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

譲渡した財産ごとに計算するため、相続した財産全体に要した相続税から不動産の相続税分を計算し、取得費として費用に加算することで、 既納分の相続税から還付を受けることができます。

その他の特例

優良住宅地の造成等のために土地を売った場合の税率軽減の特例
個人が令和7年末までに、所有期間5年超の土地を国、地方公共団体等に土地等の譲渡で一定のものについて譲渡税が軽減されます。
特定事業用資産の買換の特例
令和8年3月末、要件によっては令和8年末までに事業用の土地や建物を譲渡して、譲渡年を含む前後1年のあいだに 一定の事業用資産を取得し1年以内に事業に使用する見込みである場合に課税が繰り延べられます。
固定資産である土地や建物などを交換した場合の特例
1年以上所有している土地と土地、土地と借地権、建物と建物といった同一種類の資産を譲渡前の用途と同一用途で使用する場合は、 課税が繰り延べられます。 資産の価格差(交換差金)が20%以下のものに限ります。
中高層耐火建築物の建設のための買換の特例
個人が首都圏、近畿圏、中部圏の特定の定められた区域またはこれに準ずる区域、中心市街地共同住宅供給事業区域にある土地や建物を譲渡し、 譲渡年末までに、その譲渡した土地または建物の敷地の上に建築された地上3階以上の主として住宅の中高層耐火共同住宅の全部または一部を取得して、 取得日から1年以内に事業や居住の見込みがある場合に、sy特価格の引継ぎによる買換特例が適用されます。
所有者不明土地法に基づく地域複利推進事業に係る特例措置
人口減少・高齢化の進展により土地利用の低下によって所有者不明土地(共有者の一部が不明なものを含む)が増大する傾向にあって、 一定の事業のための土地等の譲渡について、令和7年末までは2000万円以下の長期譲渡所得税を軽減されます。
収容に懸かる5000万円特別控除または代替資産を取得した場合の特例
特定土地区画整理事業等の場合の2000万円特別控除
特定住宅地造成事業等の場合の1500万円特別控除
農地保有の合理化等の場合の800万円特別控除
特定民間再開発事業の促進に係る買換の特例

賃貸マンション建設で相続税評価額が大幅減

相続税の評価では、土地は相続税路線価価格、建物は固定資産評価額になるのですが、他人に貸している土地、 建物の場合、所有者が自由に使えないことによる不動産評価減を考慮されます。 例えば相続控除後の金額が現金で1億円ある時、現金のままであれば課税評価額1億円。
そのお金を使い土地を購入し、共同住宅を建てるとすると
土地を購入すれば、相続税路線価 7,200万円 X 貸家建付地( 1 - 貸家割合 0.3 X 借地割合 0.6)= 5,904万円
1億円を借り入れで建てた共同住宅の評価は、
1億円 X おおよその固定資産評価 0.7 X ( 1 - 貸家0.3) = 4,900万円
結局 相続財産(土地 5,904 + 建物 4,900 - 借入れ 1億円)= 相続税評価額 804万円 となり、9,196万円の圧縮になります。

売却媒介の流れ